建築施工管理技術士とは?資格取得の流れについて解説

建設工事に必要になる資格の中でも、建築施工管理技術士はプロジェクトの旗振り役として重要な資格です。建設施工管理技術士とは、国土交通省に認定された国家資格で、建設工事の施工管理をメインに行い、戸建て住宅やマンション、高層ビルの建設プロジェクトに携わることができます。今回は、建設施工管理技術士の資格取得に必要な情報や、資格取得のメリットも併せてご紹介します。

建築施工管理技士とは

建築施工管理技士とは、施工管理に関する国土交通省管轄の国家資格の一つです。建築施工管理技士は、建築現場における施工管理の作成や工事日程の管理、作業員の安全管理や建築物の品質管理などを行うために必要な資格で、建設現場には欠かせない存在。

年々施工技術の高度化や専門家が進んでおり、建設工事の円滑な施工と建築物の質的水準を確保する上で、施工管理技術の重要性が高まっているのです。

建築施工管理技士が求められる理由

施工管理に関する国土交通省管轄の国家資格は、7種類ありますが、特にニーズが高いのが建築施工管理技士です。ここでは、建築施工管理技士が求められる理由について説明します。

建築需要によって各地で現場監督者が求められている

東京オリンピックや東京名古屋間のリニア中央新幹線、大阪万博など、政府肝入りのプロジェクトが進んでいるのに伴って、各地で建設需要が高まっています。

建設需要が高まっている一方で、工事従事者の減少が問題になっており、現場監督者も同様。特に大型の建設プロジェクトになると、高いレベルの品質管理や施工管理ができる監督者が必要になるため、それらをまとめ上げることができる建築施工管理技士が求められているのです。

資格保持者は経営事項審査で企業の加点ポイントになる

経営事項審査とは、建設会社が公共工事に入札する際に使用される指標のことで、公共工事でも事業者の選定の判断基準として用いられることがあります。経営事項審査では、常勤の資格保持者の人数の加点があるため、建設施工管理技士の資格保持者が多い企業は、工事の入札時に競合企業よりも優位に立つことができるのです。

建築施工管理技士の「1級」と「2級」の違い

建築施工管理技士の資格は1級と2級に分類されており、それぞれの資格で担当できる業務が変わってきます。ここでは、建築施工管理技士の1級と2級の違いを受験資格や試験内容、担当業務の内容に分けてご紹介します。

1級建築施工管理技士

1級建築施工管理技士は、現場における「監理技術者」としての業務が認められています。監理技術者とは、建設業者が総額4,000万円以上の下請け契約を行った場合、現場への設置が義務付けられている役職のことです。1級建築施工管理技士になるための受験資格や試験内容、資格取得後の業務内容について詳しく説明します。

受験資格

1級建築施工管理技士の受験資格として必要になる主な要件は、「指定学科」と「実務経験年数」の2つです。
指定学科は、大学や短大、専門学校、5年制高度専門学校の卒業者に該当する要件で、自分が卒業した学科が国土交通省が定義している「必要学科」に含まれていることが求められます。また、実務経験年数では、1年以上の指導監督の実務経験を含んでいることが必須に。

上記の教育機関の卒業者、二級建築士の資格保持者以外で1級建築施工管理技士の資格取得を目指す場合は、職業能力開発促進法に規定されている職業訓練を修了する必要があります。(※1)

学歴または資格 実務経験年数
指定学科 指定学科以外
大学、専門学校を卒業した「高度専門士」 卒業後3年以上 卒業後4年6ヶ月以上
短大、5年制高等専門学校を卒業した「専門士」 卒業後5年以上 卒業後7年6ヶ月以上
二級建築士合格者 合格後5年以上
その他(学歴問わず) 15年以上

(※1)一般財団法人建設業振興基金 施工管理技術検定『1級建築施工管理技術検定のご案内』
https://www.fcip-shiken.jp/ken1/

試験内容

1級建築施工管理技士の試験は、一次試験と二次試験の二段階となっています。一次試験はマーク方式で行われ、受験科目は「建築学」「施工管理法」「法規」の三科目です。

建築学では、施工管理を的確に行うために必要な、土木工学や電気工学、電気通信工学などに関すること、施工管理法と法規では、建築工事の施工管理を行うために必要な法令に関する知識が問われます。

二次検定は筆記方式で行われ、受験科目は「施工管理法」の一科目です。現場の監理技術者として正しい施工管理を行うために、設計図に基づいて全体の施工管理表の作成や建物の強度を把握するスキルなどが必要に。

担当業務内容

1級建築施工管理技士の主な業務内容は、「施工管理」「工程管理」「安全管理」「品質管理」の4つです。建築施工管理技士は、現場の監理技術者として、納期までに全行程を滞りなく終わらせるために作業員を適材適所に配置したり、適切なタイミングで必要な資材を発注したりするなど、現場の状況を大きく左右する役割があります。
また、1級建築施工管理技士は、担当できる工事の規模に上限が設けられていないため、高層ビルや大型マンション、ショッピングモールなど大規模な工事に携わることが一般的です。

2級建築施工管理技士

2級建築施工管理技士の主な業務は、1級同様施工管理や工程監理ですが、担当可能な建設現場の規模に制限があるということが両者の大きな違いとして挙げられます。

2級建築施工管理技士が担当できる現場は、請負総額が4,000万円以下の中小規模のため、戸建て住宅やアパート、個人商店などを担当することが一般的です。ここでは、2級建築施工管理技士の資格試験の受験資格や試験内容、資格取得後の主な業務内容についてご紹介します。

受験資格

2級建築施工管理技士の受験内容として必要になる主な要件は、「指定学科」と「実務経験年数」です。1級の受験資格同様、指定学科は国土交通省が定義した「必要学科」の中に、自分が卒業した学科が含まれていることが求められます。ここで定義されている学科を卒業していない場合は、受験資格を満たすために職業訓練を修了する必要があるのです。(※2)

学歴または資格 実務経験年数
指定学科 指定学科以外
大学、専門学校を卒業した「高度専門士」 卒業後1年以上 卒業後1年6ヶ月以上
短大、5年制高等専門学校を卒業した「専門士」 卒業後2年以上 卒業後3年以上
高等学校、専門学校の「専門課程」 卒業後3年以上 卒業後4年6ヶ月以上
その他(学歴問わず) 8年以上

(※2)一般財団法人建設業振興基金 施工管理技術検定『2級 建築施工管理技術検定のご案内』
https://www.fcip-shiken.jp/ken2/

試験内容

2級建築施工管理技士の試験は、1級同様一次試験と二次試験の二段階となっています。一次試験はマーク方式で行われ、「建築学」「施工管理法」「法規」の三科目です。

建築学では、施工管理に必要となる土木工学や電気工学、電気通信工学に関する基礎的な知識、施工管理法は施工計画の作成方法や品質管理、安全管理などに関する基礎的な知識、法規では建設工事の施工管理を的確に行うために必要な法律に関する知識についてそれぞれ問われます。

二次試験は筆記形式で行われ、受験科目は「施工管理法」の一科目です。建築施工管理技士の二次試験は「実地試験」とも呼ばれ、実際に現場で起こる可能性がある課題への対処法について問われることが慣例となっています。

担当業務内容

2級建築施工管理技士の主な業務内容は、現場における施工管理、工程管理、安全管理、品質管理の4つです。一見すると1級の業務内容とそこまで業務内容に差があるように見えませんが、先述した通り2級建築施工管理技士が担当できる現場は請負総額が4,000万円以下の中小規模に限定されています。

建築施工管理技士の試験制度の特徴

前項では建築施工管理技士の受験資格や受験内容、業務内容についてご紹介しました。ここでは、建築施工管理技士の試験制度の特徴について深掘ってご説明します。

実技や面接が必要ない

国家試験では実技や面接が設けられていることが多いですが、建設施工管理技士の試験ではどちらも設けられていません。マークシートと記述式の問題のみとなっているため、面接や実技の準備をする必要はなく、筆記試験対策に集中することができます。

基準点以上を獲得すれば合格できる

国家試験における筆記試験の合格基準は「絶対基準」と「相対基準」の2つの基準があります。絶対基準とは、基準点以上を獲得した受験者が全員合格になる得点方式で、相対基準とは基準点を設けず「上位〇〇%が合格」とみなす得点方式です。建築施工管理技士の試験では絶対基準が採用されているため、基準点以上を獲得すれば必ず合格することができます。

建築施工管理技士の資格を取得するメリット

建築施工管理技士は、専門的で高度な技術や経験を実証することができる資格のため、取得するメリットが高い資格といえます。建築施工管理技士の資格を取得することで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

現場の「監理技術者」になれる

建設業務における監理技術者とは、一定の技術水準を保つために、施工計画を作成したり工程管理や品質管理、作業員の安全管理を行う担当者のことです。建築施工管理技士の資格保持者であれば、1級と2級で担当できる現場の規模に差はありますが、一つの現場を専任監理技術者として担当することができます。

転職する際にも通用する

建設業界は、建築施工管理技士をはじめとする国家資格保有者の人員不足が課題となっています。人員不足の原因として、建設業界に若手不足や資格保有率が高い団塊世代が定年退職を迎えたことなどが挙げられます。このような背景から、建設施工管理技士の資格保有者の需要は高く、転職する際にも有利になるのです。

建築施工管理技士の資格はキャリアアップを目指す人におすすめ!

今回は建築施工管理技士についてご紹介しました。建設工事は、工事の実務担当だけでなく、限られた工期の中で効率よく作業を進めていくための工程管理、現場での事故を防ぐための安全管理、完成時に求められる建物の強度や密度の監理を行う品質管理など、さまざまな面から成り立っているのです。これらの業務を担うのが建築施工管理技士で、東京オリンピックやリニア中央新幹線の開業に向けて建設需要が高まっている今、資格保持者のニーズも高まっています。建設業界でさらにステップアップしたいとお考えの方は、建築施工管理技士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。