建設業界の人手不足が深刻化している背景から、50代の施工管理技士が転職するチャンスは広がっています。豊富な経験と高度な技術を持つ50代の人材は、即戦力として企業から高く評価されており、転職によるキャリアアップや待遇改善が可能です。
本記事では50代から施工管理に転職する際の年収やポイント、注意点を詳しく解説します。
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目次
50代から施工管理への転職は難しいのではないかと考えられがちですが、実は十分な可能性があります。建設業界では、有資格で経験者の施工管理技士なら50代も採用可能とする企業もあるのです。
国土交通省の統計によると、建設業就業者数は平成9年(1997年)の685万人をピークに約30%減少しており、令和4年(2022年)では479万人となっています(※)。
建築業界の慢性的な人手不足の状況下において、豊富な経験と高度な技術を持つ50代の施工管理技士は即戦力として欠かせない存在です。
※参考:国土交通省.「建設業を巡る現状と課題」.“建設投資、許可業者数及び就業者数の推移”.
50代は施工管理技士の収入のピークを迎える時期です。厚生労働省による職種別の平均年収のデータによると、50代の建築施工管理技士が773~800万円(※1)で、50代の土木施工管理技士が690~722万円(※2)となっています。会社やキャリアの長さにもよりますが、年収は700万円前後まで到達できる場合があるといえるでしょう。
令和6年における建設業全体の50代男女の平均年収はおおよそ490~525万円程度であり(※3)、施工管理技士の年収は比較的高いといえます。
ただし、平均年収はあくまで一般的な指標に過ぎません。実際の年収は経験や役職、資格、勤務先によって大きく異なります。
※1 参考:厚生労働省.「職業情報提供サイトjob tag」.“建築施工管理技術者”
※2 参考:厚生労働省.「職業情報提供サイトjob tag」.“土木施工管理技術者”
※3 参考:厚生労働省.「令和6年賃金構造基本統計調査の概況 」.
50代の施工管理経験者の転職は、売り手市場の傾向です。ここでは、なぜ50代の施工管理経験者が必要とされているのか、理由を詳しく見ていきましょう。
近年は建設ラッシュが続く一方で、現場を仕切れる人材が不足しています。2012年度から2019年度にかけては災害復興・オリンピック需要などもあり、建設投資額は緩やかに拡大しましたが、肝心の施工管理技士の数がそこまで増えていないのが現状です。
工事を実施する際に管理責任を担う主任技術者や管理技術者は、施工管理技士などの国家資格を有しており、一定の実務経験が必要となることから、短期間の人材育成が困難なためです。
人材育成に時間を要する職種という特徴があるため、すでに現場で豊富な経験を積んできた50代は、即戦力として期待されます。
50代の施工管理技士は年齢的にも人生経験が豊富なため、優れたリーダーシップを発揮し、現場作業員を統率できる点は大きな強みです。
天候不順といったトラブルが発生しても過去の経験から冷静に対処できたり、若手社員の指示に従うことへ嫌悪感を示す職人気質の方へも柔軟に対応できたりするため、前職の経歴を高く評価されることが多いようです。そのため、面接時には過去に乗り越えた修羅場や解決に導いた過程を具体的に紹介できるとよいでしょう。
50代の転職は、これまでの経験という武器を最大限に生かせば、若い頃には手が届かなかった好条件の職場や、理想的な働き方を実現するチャンスが広がります。ここでは、50代から施工管理へ転職するメリットを見ていきましょう。
50代から施工管理へ転職した場合、給与アップは十分に可能です。1級施行管理技士の方が難易度が高いため、2級施工管理技士から1級施工管理技士になると給与の大幅アップが見込めるケースもあります。50代であれば、上位資格を生かして有利な条件交渉が可能です。
50代施工管理の平均年収は、全年代の中でも高い水準となっています。専門性の高い分野では、1,000万円以上の年収を得ている方も一定数存在します。
給与や待遇をアップさせるためには、正社員以外の働き方も選択肢の一つです。例えば、定年後も働き続けることを想定し、あえて正社員ではなく派遣社員になったケースもあります。経験や実績が豊富な50代であれば、派遣社員でも能力に適した評価を給与や待遇に反映してもらえる場合もあり、雇用形態にとらわれない柔軟な選択も可能です。
50代の転職によって、体力的な負担の少ない管理業務中心の働き方へシフトするなど、勤務環境の改善が期待できるのもメリットです。管理職にとって必要スキルは、リーダーとしての責任感やプロジェクト全体を見渡す視野の広さやチームをまとめるコミュニケーション力であり、まさに50代が得意とする領域です。
50代の施工管理技士の具体的な管理業務の内容は、労働時間を減らすための施策を考えてシステムの導入を検討したり、案件数に余裕を持たせて配分したりといった調整や仕組み化などが挙げられます。現場の肉体労働から、オフィスの頭脳労働へと働き方が大きく変わるのです。
ゆとりを持って働きながら計画的に成長できる職場であれば、長期的に満足感を持ちながら仕事に取り組むことも可能です。勤務環境が良ければ人生の後半戦を充実させる理想的な働き方が実現できます。
リーダーや管理職としての役割を担うようになると、自分の強みを生かせるプロジェクトを選択できる可能性があります。施工管理職は担当する案件や分野によって仕事の内容が大きく異なる特性があるため、棟梁工事が得意、マンション建設が得意といったように、得意分野で仕事ができるのはメリットでしょう。
勤務先や勤務形態次第では自分の経験を生かせる現場や通勤しやすい現場を選べるのも魅力です。
50代から施工管理技士へ転職すると、時代の最先端プロジェクトへの参画も可能です。太陽光発電所やデータセンター、半導体工場など、これまでとは異なる刺激的な現場で活躍できます。50代だからこそ新しい分野への挑戦も「経験を生かした応用」として高く評価されます。これは若手にはない、ベテランならではの強みです。
繰り返しになりますが、50代の施工管理技士は管理職として活躍できる場合があるのは大きなメリットです。50代の施工管理技士は長年の現場経験により、工事の難所や職人の苦労を理解しているため、的確な指示と現実的な工程管理ができ、現場の職人から信頼を得やすくなります。
また、経験豊富な50代は複雑な利害関係の調整や予期せぬトラブルへの対処、協力会社との交渉などの場面で力を存分に発揮できるため、企業が管理職として求める傾向が強いです。チームを成功に導くためにリーダーシップを発揮したり、効率的にプロジェクトを進行したりした経験も、管理職として活躍できる貴重なスキルになります。
若手育成の観点からも経験豊富な管理職の存在が欠かせません。50代の管理職は技術継承や安全意識の徹底など、次世代を育てる役割を任せられる存在です。
50代の施工管理技士は転職することで、より安定した企業で働ける場合があるのもメリットです。小規模な工務店から大手ゼネコンへの転職も十分に実現できます。安定した企業では、適切な労務管理のもとで、健康的に定年まで働き続けられる環境が整っている点が魅力です。
大企業へ転職できれば、安定性だけでなく、最新の技術に触れる機会や大規模プロジェクトへの参画、充実した福利厚生など多くのメリットがあります。若い頃には入社が難しかった企業も、今なら豊富な経験を武器に門戸を開けられるでしょう。
転職には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。50代特有の課題を事前に理解し、適切な対策を講じれば転職の成功率の向上が可能です。ここでは、50代から施工管理へ転職する際の注意点を確認していきましょう。
新しい職場ではこれまでのキャリアにかかわらず、新人としてスタートしなければなりません。前職のやり方や価値観に固執せず、新しい環境のルールや文化を受け入れる柔軟性が求められます。
特に注意が必要な点は、年下の上司や同僚との関係構築です。30代の課長や40代の部長の下で働くケースもあるかもしれません。このような場合は相手の立場を尊重し、謙虚な姿勢で接することが重要です。自身の経験を押し付けるのではなく相手の考えを聞き、組織の方針に従う柔軟性を持つと良好な人間関係を築けます。
建設業界はタブレットの図面確認やドローンによる現場撮影、BIMを使った3D設計などのデジタル化が急速に進んでいるため、従来とは異なる技術への対応が必要です。
法規制の面でも最新情報への継続的なアップデートが欠かせません。建築などの工事を行う際は、法律に基づいて施工管理の役職を設置しますが、その法律自体が頻繁に改正されます。
新技術は法改正に対して、「自分の経験やスキルでは通用しない」「新しいことに付いていける自信がない」とネガティブに捉えるのではなく、前向きな姿勢で臨めば、十分に通用するスキルを身に付けられます。
特に、基礎がしっかりしている50代にとって、新技術を便利な道具として捉え、「できない」と諦めずに新しいことを吸収する意欲を持つことが大切です。
転職先から寄せられる期待の大きさは、時として業務量の増加につながります。優秀な人材ほど多くの案件を担当するケースが多い点も建設業界の特徴です。「ベテランだから大丈夫だろう」という期待から、次々と案件が割り当てられる可能性があります。
一定数の案件を抱えると、さすがのベテランでも疲弊してしまいます。
無茶な業務量に対する対策は、断る勇気と任せる技術を持つことです。全ての業務を自分一人で抱え込むのではなく、若手社員に適切に権限委譲する姿勢を保ちましょう。50代の真の強みである判断力を生かせば、何を誰に任せるべきかを判断し、周囲の協力を得ながら自分の業務をコントロールできるでしょう。
転職の成功には周到な準備が欠かせません。行き当たりばったりの転職活動では、せっかくの転職チャンスを逃してしまいます。ここでは、50代からの施工管理転職のポイントを紹介するので、よく確認しておきましょう。
転職を成功させるためには、自分が何を求めているのかを明確にすることが大切です。自分自身の優先順位を整理しておくとスムーズです。給与や休日、通勤時間、やりがいなど、さまざまな要素がありますが、全てを満たす職場は存在しません。
希望する条件を書き出し優先順位を付けましょう。さらに具体的に、年収700万円以上、残業月40時間以内、通勤1時間以内といったように、条件を設定すると求人選びの基準が明確になります。
家族との話し合いも欠かせません。単身赴任の可否や転勤への対応など、配偶者や家族の意見を十分に聞く必要があります。50代の転職は人生の大きな転機となるため、家族全員の理解と協力を得ることが転職成功の第一歩となります。十分な時間をかけて、じっくりと話し合いましょう。
自分の武器を正確に把握すると、転職活動が有利になります。過去の実績の棚卸しも有効です。ただし、抽象的な経歴では説得力に欠けるので、具体的な数字と成果を示しましょう。
例えば「大規模な現場を担当した」ではなく、「総工費30億円、工期18カ月の商業施設建設プロジェクトを、予定より2週間早く無事故で完成させた」など、具体的な数値を含めて実績を整理します。
特に価値が高いのは、困難を乗り越えた経験です。難しい案件にも対応できると50代の転職ではアピールになるため、過去に起きたトラブルをどのように解決したか詳細に記録しておきましょう。失敗から学んだ教訓や危機を乗り越えた経験こそが、他の候補者との差別化につながる好材料となります。
50代から施工管理へ転職することは、キャリアの集大成として新たな可能性を開くチャンスになるでしょう。一般的に施工管理技士の年収は50代まで上がり続ける傾向があり、平均年収は700万円前後まで到達できる可能性があります。これまで培ってきた経験と技術は、高い市場価値を持っているはずです。
管理職への昇進や大手企業への転職、専門分野を生かしたさらなる活躍など、50代ならではの選択肢が広がっています。新しい環境への適応や最新技術の習得などの課題はあるものの、50代が持つ豊富な経験と柔軟性を発揮すれば対応できるでしょう。
転職を検討される際は自分の優先順位を明確にし、これまでの経験を整理することが重要です。JAGフィールド株式会社の「建築求人.jp」では、50代の施工管理技士の転職をサポートしています。豊富な求人情報と経験豊かなコンサルタントが、理想的な転職の実現をお手伝いします。建築・建設業界の転職をお考えの方は、ぜひご利用ください。
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