就職や転職活動をしていて「ビル管理士」という職種に興味を持ったり、建物のメンテナンスに関る仕事をしたいと思ったりする人もいるのではないでしょうか。
ビル管理士は「建築物環境衛生管理技術者」のことを指し、国家資格も設けられている仕事です。全国各地でニーズの高い職種で、特定の規模の商業施設や学校などでは設置が義務付けられています。
ビル管理の業界には未経験から挑戦することも可能ですが、ビルメンテナンスの専門家として将来のキャリアアップも視野に入れている場合は、経験と資格が重要です。ビルは全国の都市にあるため引っ越しをしても資格を生かして再就職しやすいでしょう。
この記事ではビルメンテナンスに欠かせない仕事の「ビル管理士」になるための方法やその他に取得しておくとよい資格などについて紹介します。
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目次
一般的に「ビル管理士」や「ビル管」と呼ばれるビルメンテナンスの仕事は、正式には「建築物環境衛生管理技術者」と言います。
ビル管理士の主な仕事内容は3,000平方メートル以上の面積を持つ建築物や8,000平方メートル以上の学校など、特定の建築物において環境衛生上適正に維持管理されるように監督する業務です。
特定建築物はデパートなどの商業施設や大学、ホテル、美術館、映画館などを指し、職場は全国各地で見つけることができます。
ビルの最高責任者の立場となるため、維持管理計画を立てたり計画の実行と現場の指揮・監督、そして測定や検査によって出てきた問題に対して改善策を作成したりする必要があります。
ほかにも建物のオーナーやテナントなどとコミュニケーションを取り、意見提出などを行います。
ビルのメンテナンス業務に興味があるが、情報が少なくて資格取得に挑む必要性があるのか疑問を持つ人もいるでしょう。
ビル管理士の資格があると転職活動の際にアピールしやすく、年収が上がりやすいというメリットがあります。ビルのメンテナンスは給料が安いという印象を持たれやすいですが。実際は会社によって大きく異なります。
未経験で働く場合はスタート時の給料が安い場合がありますが、資格を取得し転職すれば年収を上げることも可能です。会社によっては資格手当や専任手当、賞金が当てられることがあるでしょう。
またビル管理士の資格を取ることで会社からの評価が格段に上がる可能性もあります。ビル管理士の資格は準備に時間と労力がかかるため、試験を受けるにはそれなりの勉強と準備が必要です。
したがって、資格を取得することで会社に対してビルメンテナンスの仕事への真剣さのアピールにもつながります。
さらに、ほかの資格講習が受けられるようになるため、活躍の場が広がる点もメリットです。
やる気次第でほかの職種にも挑戦できることは、キャリアアップに興味のある人には魅力になるでしょう。
ビル管理士になるには、具体的にどのような対策をしたらよいのでしょうか。
ここからは、ビル管理士になるための2つの方法を紹介します。
ビル管理士になるための方法の一つは「日本建築衛生管理教育センター」が実施する試験を受けることです。ただし、誰でも試験資格があるわけではありません。
受験資格は環境衛生上の維持管理の業務に2年以上就業した経験があることが条件となります。
該当となる建築物には下記のような施設があります。
・映画館や劇場などの興行場
・図書館
・百貨店
・事務所
・公民館や結婚式場などの集会場
・博物館、美術館
・ボウリング場などの遊技場
・店舗
・学校、研修所
・旅館、ホテル
このほかにも多数の人が使用する用途で、なおかつ衛生環境が上記の用途と類似する建築物が該当します。したがって、病院や共同住宅、老人ホームなども該当する建築物です。
しかし倉庫や駐車場、工場などの特殊な環境にあるものは該当しません。日本建築衛生管理教育センターにて発表されている受験資格をあらかじめ確認しておきましょう。
そして、これらの建築物で実務経験として下記の設備管理をしていることが条件となります。
・空気調和設備管理
・給水、給湯設備管理(貯水槽の維持管理を含む。浄水場の維持管理業務を除く)
・排水設備管理(浄化槽の維持管理を含む。下水処理場の維持管理業務を除く。)
・ボイラー設備管理
・電気設備管理(電気事業の変電、配電等のみの業務を除く。)
・清掃及び廃棄物処理
・ねずみ、昆虫等の防除
申し込みの時点でこれらの実務機関が2年以上であることが条件です。雇用主から実務経験の証明が必須となるため証明書に必要事項を記入して事業主の印鑑を得る必要があります。
ビル管理士になるためのもう一つの方法は、「建築物環境衛生管理技術者講習会」を受講することです。受験資格は学歴や免許などによって異なるため日本建築衛生管理教育センターが発行する受講資格一覧表で詳細を確認しましょう。
この方法では、合計で101時間の講義科目の受講が必要です。定員が限られており、受付期間中でも定員に達すると募集が締め切られるため早めに申し込むことを心がけましょう。受講料は108,800円です。
講習会の会場は全国各地にあり、ホームページで事前に調べることができます。
業務未経験または経験が浅い場合、ビル管理士になるのは少しハードルが高いと感じるかもしれません。しかしビルメンテナンスに関係する職種では、ビル管理士に先立って取得すると良いといわれる4つの資格があります。
ここからは、ビルメンテナンスで最初に取得することが推奨される資格について紹介します。
第2種電気工事士はビルや工場、住宅などの建物や設備の電気工事を行うために必要な国家資格です。例えば屋内の配線や照明、コンセントやエアコンの設置工事などを行います。
この資格があれば住宅だけでなく小規模の店舗や工場などの電気工事が可能です。一般的に「第2種電気工事士試験」に合格したあと、都道府県知事に申請して免状を受けます。
試験は筆記試験と実技試験から構成されており、年2回の受験が可能です。
「乙4」と呼ばれる「危険物取扱者 乙種 4類」は消防法による「危険物」を取り扱う場面で必要な資格の一つで就職の際に需要が多い人気資格です。
危険物取扱者試験には数種類ありますが、乙4は生活で身近なガソリンや軽油、灯油、重油などの可燃性液体の取り扱いを主としています。
化学に関する知識のない初学者でも取り掛かりやすく、取得しやすい資格です。また求人のある職場が多岐に渡るのも特徴です。
例えばガソリンスタンドや石油会社、自動車整備工場、薬品会社がありますが公共施設の設備管理などでも需要があるため、ビル管理士を目指す場合は実務経験を積むための役に立つでしょう。
2級ボイラー技士もビルメンテナンス業界では需要のある資格です。
ボイラーは温水や蒸気を発生させる機器で誤った運用をすると爆発などの災害を起こしてしまうことがあります。
さまざまな場所で使われているボイラーを安全に運用し管理するための国家資格がボイラー技士です。
2級ボイラー技士はボイラーを正しく使うためのスキルを持った技術者という位置づけです。筆記試験に合格し実技講習を修了することが求められます。
冷凍機械責任者は高圧ガス製造保安責任者という国家資格の一種で、冷凍設備に関わる機械や装置の保安業務を担います。
冷凍機械責任者の資格では機械の保守や管理、点検、無資格者の監督などができるようになります。また食品の冷凍設備だけでなく建物の空調設備なども冷凍機械も対象です。
ビルメンテナンスに限らず幅広い施設で需要があるため、就職や転職で職場の選択肢が広がるでしょう。
この記事ではビル管理士の仕事やビルメンテナンスに関わる資格について紹介しました。
ビル管理士を取得すると転職やキャリアアップで有利になる可能性があるほか年収アップを目指すこともできるでしょう。ビル管理士に挑戦するのはハードルが高いと感じる場合はビルメンテナンスに関わる4つの資格を調べて挑戦してみることもおすすめです。どの資格も需要があり、就職や転職の際にハードスキルとしてアピールすることができます。
キャリアパスを考えながら、今回紹介した資格取得を自身の計画に合わせて取得を検討してみるとよいでしょう。
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