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施工管理技士補とは?制度改正も交えて解説

施工管理技士補とは?

施工管理技士補は、2021年4月の建設業法改正によって創設された国家資格です。1級と2級の2種類があり、1級施工管理技士補には主任技術者としての活躍が期待されています。2級施工管理技士補は施工管理技士の登竜門に当たる資格で、17歳からのチャレンジが可能です。この記事では、施工管理技士補の特徴と法改正のポイントを解説します。施工管理技士を目指している人は、ぜひ役立ててください。

施工管理技士補とは?

施工管理技士補

施工管理技士補とは、建設業界の技術者不足を補う目的で作られた新しい国家資格です。施工管理技術検定の第一次試験に合格すれば、資格を取得できます。

2021年の建設業法改正以前は、一定規模以上の建設工事現場には専任の監理技術者を配置しなければなりませんでした。監理技術者とは施工技術の管理責任者であり、1級国家資格や高度な専門知識・実務経験が求められるため、担い手の確保が容易ではありませんでした。

法改正以降は、各現場に1級施工管理技士補を主任技術者として配置すれば、監理技術者は2つの現場を兼任できます。1級施工管理技士補の仕事は、監理技術者の補佐役です。

施工管理技士補が新設された理由

施工管理技士補の資格が新設された理由は、2つあります。1つ目は、監理技術者不足の解消です。建設業界では急激に高齢化が進んでおり、高齢技術者の大量離職も想定されています。一方、若年層の入職者は減少傾向にあり、離職率も低くありません。

法改正以降は1級施工管理技士補を主任技術者として配置できるため、技術者不足に対処しやすくなります。

2つ目の理由は検定制度の改善です。若者の技術者を増やす目的で、2級施工管理技術検定制度の要件は2006年以降徐々に緩和されています。

年度 2級施工管理技術検定制度の見直し
2006年 学科試験と実地試験を分離、18歳から学科試験を受検可能
2016年 17歳から学科試験を受検可能
2017年 学科試験を年2回受検可能

 

しかし要件が緩和されても資格を取得する人が増えなければ、若手技術者の確保は見込めません。

2021年の法改正以降は、従来の学科試験に該当する第一次試験に合格すれば、施工管理技士補の国家資格を取得できます。

出典:技術検定制度の⾒直しについて|国土交通省

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技術検定制度の⾒直しについて|国土交通省

施工管理技士補の新設による検定制度の変更

ここでは、2021年建設業法改正に伴う施工管理技術検定制度の変更点を解説します。そもそも、施工管理技士補の創設は、2019年に国土交通省が公表した「新・担い手3法」に盛り込まれた内容です。

新・担い手3法とは、働き方改革や生産性向上などを目的として、住宅品質確保促進法(品確法)と建設業法、入契法の3法を一体的に改正する施策です。2021年には建設業法第二十七条(技術検定)が改正され、施工管理技術検定制度も変更されました。

検定制度の主な変更点は、以下の2点です。

  • 学科試験と実地試験が、第一次検定と第二次検定に変更
  • 学科試験に合格した人に、施工管理技士補の資格を付与

以下で詳しく解説します。

出典:新・担い手3法|国土交通省

施工管理技士補の新設前

法改正以前に施工管理技士の資格を取得するためには、施工管理技術検定の学科試験と実地試験に合格する必要がありました。学科試験に合格しても実地試験が不合格であれば、資格を取得できません。

1級施工管理技術検定 学科試験合格→実地試験合格→1級施工管理技士
2級施工管理技術検定 学科試験合格→実地試験合格→2級施工管理技士

 

学科試験にのみ合格した場合は連続2回まで学科試験を免除され、直接実地試験に挑戦できます。ただし、2回目の実地試験で不合格になると、学科試験から受検し直さなければなりません。モチベーションが下がる人も多く、受検率の低下が課題でした。

施工管理技士補の新設後

法改正によって学科試験と実地試験の名称は第一次検定と第二次検定に変更されました。

  • 学科試験→第一次検定
  • 実地試験→第二次検定

試験内容も変わり、監理技術者の補佐に必要な知識や応用能力が第一次検定に盛り込まれています。

第一次検定の合格者には、施工管理技士補の国家資格が付与されます。

1級施工管理技術検定 ・第一次検定合格→1級施工管理技士補
・第二次検定合格→1級施工管理技士
2級施工管理技術検定 ・第一次検定合格→2級施工管理技士補
・第二次検定合格→2級施工管理技士

 

2級施工管理技士に合格した人が直ちに1級施工管理技士の第一次検定を受検できる点も、注目ポイントです。ただし、1級施工管理技士の第二次検定には所定の実務経験が必要です。

出典:技術検定の再編|建設業振興基金

施工管理技士試験制度の改正(再編)について|CIC

1級・2級建築施工管理技士の受験資格を全解説|SAT

技士補によって監理技術者問題が緩和

1級施工管理技士補を主任技術者として現場に配置すれば監理技術者の兼任が可能となり、監理技術者の担い手不足を緩和できます。監理技術者・主任技術者とは資格名ではなく、建設業法に定める技術管理者の名称です。

建設業者は元請け・下請けに関わらず、原則的に施工技術上の管理をつかさどる主任技術者を工事現場に配置しなければなりません。一定規模以上の元請工事では、監理技術者を配置する必要があります。配置の要件は以下のとおりです。

監理技術者 主任技術者
元請工事の下 4,000万円以上 4,000万円未満
請合計金額 建築一式工事は6,000万円以上 建築一式工事は6,000万円未満
主な資格要件 1級国家資格者(1級施工管理技士、1級建築士) など 1級国家資格者(同左)
2級国家資格者(2級施工管理技士、2級建築士) など

 

2つの工事現場を兼務する監理技術者を、特例監理技術者と呼びます。1級施工管理技士補が主任技術者になれるケースは、監理技術者の設置が必要な元請工事です。

出典:建設業法|e-Gov法令検索

施工管理技士補にできる補佐業務

施工管理技士補にできる補佐業務

1級施工管理技士補の主任技術者としての役割は、監理技術者の補佐です。監理技術者の指導監督を受けながら、現場の主任技術者として業務を遂行します。監理技術者と主任技術者の業務内容は、建設業法第二十六条の四「主任技術者および監理技術者の職務等」に定められています。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • 技術上の管理、施工に従事する者の技術上の指導監督

国土交通省は2020年に監理技術者制度運用マニュアルを改正し、監理技術者・主任技術者の業務内容を明確化しました。元請けか下請けかで業務内容は異なります。ここでは、元請けの監理技術者・主任技術者が担う業務を紹介します。1級施工管理技士補は、業務遂行にあたって監理技術者の指示を仰ぐ必要がある点に注意しましょう。

出典:「監理技術者制度運用マニュアル」を改正しました|国土交通省

施工計画の作成

工事全体に関わる施工計画の作成・修正を行います。

施工計画に盛り込む主な項目は、下記のとおりです。

  • 工事概要、施工期間、現場組織図
  • 工事に使用する機械の仕様・台数
  • 主要素材、施工方法
  • 安全管理、交通管理、環境対策の計画作成
  • 産業廃棄物の処理方法、再生資源の活用方法 など

工程管理

工事全体の進捗管理や下請け間の工程調整、工程会議の開催・参加を行います。実際に現場を巡回して、工程に遅れがないかチェックする作業も重要です。

工事の規模が大きいほど下請けや作業員の数が増えるため、監理技術者や主任技術者にはきめ細やかな対応が求められます。コミュニケーション能力も欠かせません。

品質管理

下請けから上がってくる施工報告書の確認、立ち会い確認、事後確認などの実地確認を行います。

監理技術者や主任技術者には、設計図どおりの建物を完成させる責任が求められます。計画通りの資材が使われているか、仕上げの程度や性能、精度などに問題がないかを厳格にチェックしなければなりません。

工事の指導監督

工事全体のコンプライアンス管理や職務遂行の確認、総括的な技術指導を行います。作業員への具体的な技術指導は、下請け主任技術者の役割です。

一方、安全管理やコスト管理は、必ずしも監理技術者や主任技術者の業務ではありません。これらの業務は、一般的に現場代理人が務めます。現場代理人とは、工事を請け負った建設業者の経営者に代わって、工事現場の責任を負う人です。

施工管理技士補を取得するメリット

1級施工管理技士補を取得する主なメリットは、以下の2つです。

  • 1級施工管理技士の資格取得に必要な実務経験を積める
  • 資格手当がもらえる可能性がある

2級施工管理技士補は、主任技術者にはなれません。しかし、2級施工管理技士補の資格があれば就職や転職で有利です。資格手当がもらえる場合もあります。

監理技術者補佐として現場の実績を積める

1つ目のメリットは、1級施工管理技士の資格取得に必要な実務経験を積める点です。1級施工管理技士補が1級施工管理技士の第二次検定を受けるためには、1年以上の指導監督的実務経験が欠かせません。

1級施工管理技士の主な受検資格は、以下のとおりです。

  • 4年制大学で指定学科を卒業後、3年以上の実務経験がある
  • 2級施工管理技士の合格後、5年以上の実務経験がある
  • 実務経験に、1年以上の指導監督的実務経験を含む

指導監督的実務経験とは、主任技術者や現場代理人、工事主任、設計監理者などの立場で、部下や下請けの総合的な指導監督をした経験です。1級施工管理技士補の資格を取得すれば、指導監督的実務経験を積めるチャンスが得られます。

資格手当を受けられる

主任技術者を担当できる1級施工管理技士補は、建設業界でニーズが高い資格です。資格手当を受けられる可能性は高く、収入アップに役立ちます。

施工管理技士補は新しい資格で、資格手当に関するデータは多くありません(2021年12月時点)。ここでは、施工管理技士がもらえる資格手当の相場を紹介します。
求人サイトで紹介されている資格手当の相場は以下の通りです。

  • 1級施工管理技士:1~3万円程度
  • 2級施工管理技士:5,000円程度

出典:【一級建築士 資格手当】を含む求人・転職情報|リクナビNEXT

キャリアアップに役立つ

建設業界では人手不足が深刻化しており、優秀な人材へのニーズは高まっています。1級・2級に関わらず施工管理技士補の資格があれば、建設に関する基礎的な知識があると判断できるため、就職や転職に有利です。

2級施工管理技士補は主任技術者の任には就けませんが、公共工事を受注したい企業にとってメリットがあります。入札に参加する建設業者を客観的に診断する経営事項審査で、2級施工管理技士補が取得したCPD単位が加点対象になるためです。

CPDとは、Continuing Professional Developmentの略で、建設業界の技術者を対象とした継続教育制度です。社員がプログラムに参加してCPD単位を取得すれば、公共工事の入札で優位に立てます。

将来的には2級施工管理技士や1級施工管理技士も目指せるため、2級施工管理技士補の資格を取得しておいて損はありません。

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施工管理技士補は、施工管理技術検定の第一次試験に合格すれば取得できる国家資格です。特に、2級施工管理技士補の資格は17歳以上であれば誰でも取得できます。資格に有効期限はなく、実務経験を積みながら上の資格を目指せる点がメリットです。

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