近年、さまざまな業界でDXが注目されています。DXをうまく活用することにより、業務の効率化や各種コストの削減などを期待できるでしょう。
建設業界においても他の業界同様にDXは注目されています。建設業界には人材不足を課題とする企業や、技術やノウハウをどのように継承するべきか悩む企業も多いです。
そこで本記事では、建設業界におけるDX推進について解説した上で、建設業界でDXが推進されている理由や推進に必要な技術などについて解説します。
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目次
DXと一括りにしても、業界ごとに効果的な施策は異なります。
ここでは、DXについて簡潔に解説した上で、建設業界におけるDX推進について見ていきましょう。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略語です。DXをうまく活用することで、新サービスの創出や業務の効率化を期待できます。
少子高齢化やIT技術の普及などにより、多くの企業がさまざまな課題を抱えています。企業が抱えている課題の中にはDXの実現により、解消されるものも多いです。また、社会にIT技術が浸透することにより、多くの人にとって暮らしやすい社会になります。
日々の暮らしにおいて便利で快適なサービスが利用できるようになる他、IT技術により家事の負担を減らすことも可能です。
建設業界で導入が行われているDXは、建設DXと称されることもあります。建設DXとはデジタル技術を建設業界に導入することにより、業界全体で抱えている課題を解決していこうとする取り組みです。
建設業界では他の業界同様にAIやICT、 IoT、ディープラーニングなどのデジタル技術を活用し、各種問題を解決していこうという動きが進んでいます。計画や設計、施行などにデジタル技術を導入することで、少ない人員でも高品質な作業を実現できるでしょう。
ただし、建設業界は古くからの慣習を重んじる企業が多い傾向にあるため、DXの推進が他の業界よりも遅れているという見方も少なくありません。建設業界には資料や工程表をアナログ管理している企業も多いです。
近年、ビジネス環境の変化は急速に進んでおり、企業には変化に応じた対応が求められています。特に、2020年春先に世界各国に蔓延した新型コロナウイルスは、多くの企業に多大な影響を与えました。感染症対策のため、テレワークを導入する企業が増えたほか、さまざまなことがオンラインで完結するよう仕組み化されたといえます。
こうした状況において、高度なIT環境に必要性を感じていなかった企業にも、IT環境を完備することが求められています。そして、建設業界も例外ではありませんでした。
また、建設業界における働き手の不足も、DX推進が注目されている理由の一つです。少子高齢化の影響などにより建設業界は深刻な人手不足である他、この業界に新しく入ってくる若年層が少ない傾向にあります。
建設業界において人手不足や技術、およびノウハウの継承が問題視されている昨今、DXの重要性が高まっているのです。
DXを建設業界で推進することで、下記2つの課題が解決できると見込まれます。
・業務の効率化
・技術やノウハウの継承
それぞれ詳しく解説します。
働き方改革により、企業にとって従業員の業務負担軽減や業務効率化もまた、重要な課題の一つになりました。
従業員が定時に退社するためには、業務を効率的に行わなければなりません。DXを導入することで一部の業務を自動化できるため、それぞれの従業員が請け負う業務を軽減できます。
例えば、3Dモデルデータを活用すれば、従業員が現場に出向かなくても打ち合わせができるようになります。その他にも、DXは書式が定まっている書類の自動作成や、計算の自動化も可能です。建設業界における煩雑な作業を自動化することで、従業員が行うべき作業工程をおのずと減らせます。
建設業界は少子高齢化による影響を受けて、人手不足が特に深刻な業界です。特に、若年層の働き手が少ないだけでなく、この業界に新しく入ってくる若年層も少ない傾向にあります。少ない人員で業務を期日までに完了するためには、従業員に過度な負担が強いられるケースも珍しくありません。
前述のとおり、建設業にDXを導入することで業務の効率化が期待できます。業務を効率化すれば、少ない人員で業務を円滑、かつ少ない負担で完了できるといったメリットもあります。
建設業界で一人前として働くためには、熟練の技やノウハウを取得しなければなりません。これらは先輩の下で長年働きながら、少しずつ取得していくものです。
こうした慣習があることからも、建設業界では技術やノウハウを若い世代に継承していくことも重んじられてきました。しかし、新しく入ってくる若年層が少ない昨今において技術やノウハウの継承が困難になりつつあります。そして、自社の技術をどのようにしてストックするかも課題となっているのです。
建設DXを活用することで、技術やノウハウをデータとして残せます。例えば、AI技術の活用で作業全体を安定させ、熟練の技術者でなくても作業を円滑に行えるようになります。また、自社のノウハウや技術はデジタルツールを活用することで、マニュアルとして残すことも可能です。
建設業界でのDX推進に必要な技術は下記の7つです。
・BIM/CIMなどの3Dモデルデータ
・クラウドサービス
・第5世代移動通信システム(5G)
・情報通信技術(ICT)
・モノのインターネット(IoT)
・人工知能(AI)
・ドローン
それぞれ詳しく解説します。
主な建設DXとして、BIM/CIMなどの3Dモデルデータが挙げられます。BIM/CIMなどの3Dモデルデータを計画や設計に活用することで、立体的な画像の作成が可能です。
作成した画像は多くの従業員のイメージを助けることになるため、現場で実物を見なくても打ち合わせや企画などをスムーズに行えるようになります。また、3Dデータでは計画、および設計のみならず、AIでデータを処理してデジタルツインを実現することも可能です。
クラウドサービスには書類や写真などをクラウド上に保管するサービスだけでなく、クラウド会計やビジネスチャットのようなサービスも含まれます。近年、さまざまなクラウドサービスが普及していますが、建設業界に特化したサービスも多いです。
建設業界に特化したクラウドサービスには、資料や図面などの共有を容易にする機能や、記録帳票の作成をサポートする機能などが搭載されています。また、社外での業務や移動する機会が多い建設業界は、クラウドサービスとマッチするはずです。クラウドサービスはインターネット環境があれば場所を問わず利用できるため、建設現場や移動中にも利用できます。その他にも、建設現場から本社に工事の状況を中継することも可能です。
5Gとしても知られる第5世代移動通信システムは次世代移動通信規格です。第5世代移動通信システムは従来の4Gよりも高速であり、かつ大容量の通信を行えます。また、通信速度が遅れる可能性も低く、複数の機器への同時接続も可能です。
第5世代移動通信システムを活用することで、現場から本社へのリアルタイム中継が実施しやすくなるほか、複数の機器を接続した場合も安定した状態で連絡を取れます。
ICTとしても周知されている情報通信技術とは、通信技術を活用したコミュニケーションです。情報通信技術には情報処理のみならず、通信技術を用いたサービスなどが含まれます。
建設現場では情報通信技術を建設機械の遠隔操作に利用することも多いです。特に人間が行うと危険な作業で使われます。情報通信技術を活用することで、建設現場で業務に従事する方たちの安全性を確保しやすくなったと言えるでしょう。
モノのインターネットはIoTとして周知されています。IoTは家電や建設機械などに通信技術を搭載し、収集したデータを各種用途で活用するインターネット技術です。
建設現場にIoTを導入することで、離れた場所からでも機器の操作が可能になります。その他にも、危険な場所はIoTを搭載したセンサーで監視できるため、従業員の事故回避にも役立つはずです。
IoTで収集した現場の作業データはAIで分析を行い、作業や技術を標準化したり、可視化したりすることもできます。データをマニュアルとしてまとめておくことで、次世代に技術やノウハウを継承することも可能です。
人工知能とはAIとしてよく知られています。コンピューターの性能の向上により、コンピューターは人間のように学習できるようになりました。そして、AIは自動運転や医療画像診断、翻訳など、人間のさまざまな知的活動に貢献していると言えるでしょう。
建設業界においてもAIはさまざまな場面で用いられています。例えば、現場の画像をAIが人間に代わって分析を行い、工事の進捗を判定するシステムがあります。その他にも、建物の構造計算などにもAIが導入されているようです。
建設業界の平均年齢は他の業界と比較しても高くなっており、高齢化が進展しています。多くの現場においても従業員の高齢化が課題となっているのが現状です。高所の点検など高齢者が行うと危険性が高い作業もあり、懸念される場面も少なくありません。
ドローンを活用することで、従業員の安全を確保しながら点検を行うことができます。また、ドローンの活用により、点検にかかる費用の削減効果も期待できるでしょう。橋や送電線を点検する際にはさまざまなコストがかかりますが、ドローンを使ったことで費用が割安になったというケースも多いです。
今回は建設業界のDXについて詳しく解説しました。建設業界は社会的ニーズが安定している業界であるものの、いくつもの課題を抱えていることも事実です。少子高齢化による人手不足や従業員の安全性の確保、業務の効率化などに対して適切な対応が求められています。現在アナログな業務が多い企業であれば、DXを推進することで大きな業務改善が期待でき、これらの課題解決につながるでしょう。
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