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現場監督なら覚えよう!施工図の書き方とポイント

家や商業施設など、多くの人が利用する建築物は、現場監督が作成している施工図をもとに作られています。
施工図は建物を建築する際に必ず必要な資料です。

建築業界への転職を考えている人のなかには、施工図をどのように書くのか気になっている人もいるでしょう。

本記事では、施工図の重要性や特徴、種類を解説した後、施工図の書き方をご紹介します。現場監督への転職を考えている人は参考にしてみてください。

そもそも施工図とは

施工図とは、建物の施工内容が記載された最終決定の図面です。
工事に関わる各業者に施工図を渡し、施工図を元に各業者は工事を進めていきます。
施工図には、設計段階の図面には記載されていない細かい部分の寸法や収まりが記載されており、建物のクオリティにも大きく影響する重要な図面です。

施工図以外の図面で工事が行われた場合、扉などの建具が取り付けられなかったり、配管や配線などが通せなかったりなどのトラブルや構造欠陥などにつながります。

トラブルが起こると、次に控えている工事ができなかったり予算を超えてしまったりするなど、次々にトラブルが重なってしまう可能性があります。施工図はスムーズな工事を行う際に重要な図面なのです。

施工図前の図面との違い

施工図と施工図前の図面ではどのような違いがあるのか、よくわからないという人もいます。c
施工図には、施工に関わる寸法やデザインなどの詳細がすべて記載されています。しかし施工図前に作成する図面段階では、検討中の箇所など正式に決定されていない部分や詳細な寸法などは記載がされていません。

施工図面の図面には記載されていない事柄には下記項目があります。

(例)
・パイプスペース
・ダクト(配管)を通すスペース
・壁の厚み
・扉などの建具のサイズ
・窓のサイズ
・照明やコンセント、スイッチの位置

上記の事柄以外にも、消化器や排煙窓、ビルやマンションの共用部であればスプリンクラーなども施工図前の図面段階では記載されていない場合が多いです。

したがって、施工図面と図面の認識を誤ると最終的に決定した寸法・デザインで施工できなくなります。そのため施工図前の図面の管理には細心の注意が必要です。

施工図を作成する重要性とは

施工図はスムーズな工事を行ったり、設計ミスを防いだりするために必要な資料です。ここでその重要性を詳しくみていきます。

施工ミスを未然に防止できる

施工図を作成することで、施工ミスを未然に防げます。

施工図がない状態で施工を進めてしまうと、サイズ違いが起こる、収まりが悪くなるなどのトラブルが発生する原因になります。
トラブルの発生に加え、各施工業関係者によって図面の把握違いが起こり、後期の遅延や不要な費用が発生する場合もあるため、施工図はミスなくスムーズに工事を行うために重要といえるでしょう。

寸法が網羅されている

先述したとおり、施工図には設計段階では未確定であった、空調設備や間取りなどを含めた建物全ての寸法が最終決定された状態で詳しく記載されています。
決定した寸法が記載されていることにより、各施工関係者が把握する寸法が統一され、各工事への干渉を防止できます。

実際に工事を行う際、重要な情報を網羅している施工図は、建物の安全性にもつながる重要な図面です。

施工における無駄な作業を排除できる

施工図を作らずに建物を建てようとした場合、必要寸法の採寸をしたり、やり直し箇所が出てきてしまったりなど、無駄な時間や手間がかかります。

各施工関係者が施工内容を誤って認識していた場合、トラブルが生じたり工期が延びてしまう可能性もあるでしょう。

正確かつスムーズに施工を行うためにも施工図は重要です。

情報共有が円滑になる

施工図は情報共有をする際にも重要な図面です。

建築現場では、全ての施工関係者へ同じ施工図が共有されます。現場全体で同じ施工図を共有していることにより、間違いなどにも早く気が付くことができ、早い段階での修正が可能です。

施工図には、どのような素材の材料が使われているのか、どこの業者が施工をするのかも記載されているので現場での連携がスムーズに進みやすいです。

施工図には種類がある

施工図には、平面詳細図や躯体図などいくつかの種類があります。
下記で施工図の種類を紹介します。

平面詳細図

平面詳細図は、主に建物の内装や家具の配置、住宅設備などの設置位置が細かく記載されている図面です。設置位置の他にも、「リビング」「ベッドルーム」「トイレ」など各部屋の名前や部屋の寸法、扉や窓の位置などが記載されています。

平面詳細図は図面を元に、内装工事や電気工事など各工事を進めるために必要な図面です。作成時は利用する人の生活動線、家具や窓のサイズなどを確認しながら作成することが大切です。

躯体図

躯体図には、建物を支える重要な柱や梁、基礎などが記載された図面です。
柱や梁など完成したときには見えない部分ですが、建物を建てる上では欠かせない情報です。

躯体図に記載されている寸法は、人が利用したり自然災害にあったりした際、建物に不具合が生じないよう計算をした上で記載されています。

躯体図に記載されたとおりの寸法で施工を行わない場合、建物の不具合につながるため、建物を利用する人の安全を守る重要な施工図です。

断面詳細図

断面詳細図は、建物を断面的に見た詳細が記載されている図面です。

平面詳細図などの図面には、建物を平面的に上から見た図が書かれています。
一方、断面詳細図では建物を横から見るなど、平面詳細図とは違う視点で確認が可能です。

建物を断面詳細図で確認することで、高さの位置関係などを施工前に詳しく確認でき、寸法間違いなどを防げるメリットがあります。

断面詳細図は、平面詳細図や躯体図など各図面の不明瞭な部分をピックアップして断面詳細図を作成します。

天井伏図

天井伏図には、照明や換気扇、火災報知器や天井点検口の位置など天井に関わる情報が記載されています。

通常、完成した建物の天井には壁紙が貼られており、壁紙の下には天井の下地となる石膏ボードなどが使用されます。
壁紙の下にある石膏ボードを取り付ける方向や、つなぎ目の位置などが細かく記載された図面です。

また天井伏図には各部屋の天井の高さや下地、仕上げの種類などの記載もされています。天井の情報が詳細に記載されていることで、電気の取り付け工事など他の工事をスムーズに進められます。

配管図

配管図は、配管の通る道筋が細かく記載された図面です。

お風呂や洗面所、キッチンなどの水回りには、水が通る配管が通されますが、建物を建てる際は配管が他の設備や柱などと干渉し合わないよう綿密に計画する必要があります。この配管経路をまとめているのが配管図です。

配管図を作成することで、「配管が思っていた経路で通せない」などのミスに早い段階で気付けます。

またここまでに紹介した平面詳細図などは、寸法を「mm (ミリメートル)」で記載しますが、配管図は「EL」や「BOP」などの記号を使って記載する特徴があります。

割付図

割付図は建物の見た目に関する情報が網羅された図面です。建物がした完成した際、利用者の目に見える箇所を綺麗に施工するために、割付図が重要です。

例えば割付図を作成せずに目測でタイルを貼ると、いくら経験のある職人であってもズレが生じることがあるでしょう。タイルにズレがあると見栄えが良くありません。利用者からのクレームにつながる恐れもあります。

外壁のタイルやフロアタイルなど、正確な位置に設置する必要がある工事の際は割付図の存在が大きいといえます。

プロット図

プロット図は、設備電気工事と建物を建てる建築工事がまとめられた図面です。

主に各施工関係業者との打ち合わせの際に用いられ、お互いの工事を行う上で支障がないかを確認するために使用されます。

プロット図には下記の内容が記載されています。

・照明
・消防設備
・エアコンの取り付け位置
・電源の位置
・コンセント
・照明スイッチの位置

打ち合わせ段階で建築工事、設備電気工事に支障が出る部分がわかることで、双方が円滑に施工を行えるためにも、大切な施工図といえるでしょう。

外構図

外構図は建物の外(敷地内)の詳細が記載された図面です。窓から家の中が丸見えにならないなどプライバシーを守るための塀や植木などの位置や高さが正確に記載されています。

また雨天の際に敷地内の水が排水されるように地面の傾斜や排水ルートも記載されており、スムーズな排水がされるよう綿密に計算を行います。

地上の排水だけではなく、敷地内の地面の中に埋められている排水用配管のルートや、芝生の範囲など最終のデザインの記載もあり、見た目やデザイン、見えない部分を含めた建物の外を網羅された図面です。

施工図の書き方を解説

施工図は、種類によって書き方が異なるので、今回は基本的な平面詳細図の書き方をご紹介します。

【平面詳細図の書き方】
1. 壁芯と柱の中心線を書く
初めに壁芯と柱の中心線を書きます。
方眼紙などの線を基準にして、柱の等間隔(910mm)で書き進めます。
※方眼紙の線を基準に書くことで、910mm間隔で書き進められます。

2. 壁・柱の線を書く
次に、壁・柱の線を書きましょう。
柱のサイズは建物の使用により変わりますが、左右に割り振ります。
※左右の割り振りは柱の太さの半分のサイズで割り振りましょう。

3. 開口部を書く
扉や窓などの開口部(扉などを取り付ける寸法)を書き込んでいきます。
開き戸や引違い扉、網戸など各扉の種類によって表記が異なるので注意して書き進めてください。

4. 設備機器を書く
キッチンや換気扇、洗面化粧台やトイレ、家具などの位置を書き込みます。

5. 床仕上げを書く
床仕上げを書く際は、割付図も記載しておきましょう。
玄関のシューズボックスや家具の位置を考慮してタイルなどの割付をしているため、割付図を作成する場合はできるだけ詳細に書き込みましょう。

6. 縮尺や方位などの情報を書く
縮尺や方位などの図面の情報を詳しく書き込みます。
窓の寸法や部屋の寸法が図面で確認できるように書きましょう。

最後に、図面の内容に間違いがないかを確認し完成です。

まとめ

施工図は、建物を建てる際に重要な図面です。現場監督への転職を考えている方、施工図の書き方が気になっている方はポイントおさえて施工図を作成しましょう。

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