工事現場で技術者を指揮し、工事全体を管理する仕事である施工管理。中でも内装施工管理は壁や天井、クロスなどの内装工事の司令塔です。建築物の仕上げに関わる内装施工管理の仕事は、やりがいもあるため、興味がある方も多いでしょう。
本記事では内装施工管理の仕事内容や求められるスキルや、3つの魅力を紹介します。取得するとキャリアアップにつながる資格についてもまとめました。建物の内装に興味のある方や内装施工管理の仕事への就職や転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
内装施工管理とは、内装工事を指揮しながら納期までに工事が終わるよう工事全体を管理する仕事です。オフィス・一般住宅・ホテル・飲食店・アパレル・商業施設など、幅広い物件の内装工事に携わります。
一口に内装工事といっても、工事内容は塗装・大工・左官・ボード・電気・仕上げなど多様です。また新装工事と改装工事、部分補修をする修繕工事で内容が異なるため、それぞれに対応できる技術と幅広い知識が必要です。
内装施工管理者の人数は工事現場の規模によって異なります。複数いる場合は分業が可能ですが、1名で工事現場を指揮する機会もあります。責任は重大ですが、その分やりがいもある仕事です。
内装施工管理の仕事内容は多岐に及びます。中でも特に重要なのが工程・安全・品質・原価の4つの管理です。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
工程管理は納期までに工事を完了させられるよう、スケジュール管理する仕事です。内装工事では塗装・大工・左官などの作業員と協議しながら、日程を調整する必要があります。
内装工事は狭い現場も多く、作業スペースや資材スペースの確保が難しいケースもあります。その場合は資材が作業の邪魔にならないよう、搬出入のスケジュールも立てておかなければなりません。
安全管理とは働く作業員の安全を管理して、事故を未然に防ぐ仕事です。内装工事は天井などの高所作業や電動工具を使用する作業も多く、油断していると事故が起きてしまいかねません。
内装施工管理者は安全を何よりも優先して、現場作業員の安全を守る義務があります。ヘルメットや安全靴、安全帯の着用などのルールを徹底し、ルールを守らない作業員がいる場合には注意や指導も必要です。
品質管理とは、内装工事が自社の施工基準や図面に従って行われているか、施設のルールに違反していないかを監督する仕事です。
内装工事の品質は完成した建物の見栄えに大きな影響を与えます。ほんの少しの施工不良でも見た目が損なわれ、クレームにつながりやすいため、品質管理は特に重要です。
納入された資材や作業の様子、作業後の仕上がりなどをチェックして、素材や寸法などに間違いがないかしっかり確認します。万が一問題がある場合は作業員に注意喚起を行い、是正を指示します。
原価管理は工事の原価を管理する仕事です。工事の原価が増えれば利益が減ってしまうため、当初に決めた予算を超えないようにする必要があります。
予算がオーバーするようならコストを改善しなければなりません。コスト改善の際には、施工方法や材料を見直す他、協力業者と話し合って配置人数を減らしてもらうなどの指示も必要です。
上記の4大管理以外にも、内装施工管理者にはパソコンでの工事書類の作成や、クライアントや発注業者、設計事務所との打ち合わせなどさまざまな業務があります。
場合によっては協力業者の選定や発注を任される場合もあるでしょう。業者の選定は工事の品質や工事原価、安全管理にも影響を与えるため、バランスを考えながら慎重に行うことが大切です。
内装施工管理者に必要なのは、計画立案能力・臨機応変な対応力・コミュニケーション能力・マネジメント力などのスキルです。それぞれのスキルがなぜ必要なのか、見ていきましょう。
納期を守りながら内装工事を完了させるには、墨出し・ボード工事・壁紙・塗装など仕事の流れを把握した上で、作業員などの関係者がスムーズに動けるようにしなければなりません。
そのためゴールから逆算して、安全で適正な作業を行うための施工計画や予算計画を立てる必要があります。
工事期間中だけでなく、適切な人員配置などの事前のプランニングや、引き渡し後の報告書の作成などのデスクワークも含めて計画を立案しておくことが大切です。
臨機応変な対応力も、内装施工管理者に欠かせないスキルです。
内装工事といっても壁や天井、クロスや床など工事の幅も広く、オフィスや商業施設などの内装改修工事では夜間の作業が必要になるなど、それぞれの現場で異なる対応が求められます。
事前にどれほど綿密な計画を立てても、工期や予算が計画どおり進むとは限りません。現場での予期せぬトラブルも起こり得ます。急な変更やトラブルがあっても柔軟な対応力があると役立つでしょう。
内装施工管理者にはコミュニケーション能力が必須です。工事の種類によって大工・左官・配管工・塗装職人など、さまざまな職人と関わるためです。
職人たちと意思疎通しながらスムーズに工事を行うには、コミュニケーション能力が欠かせません。交渉力や説明力だけでなく、雑談力もあると現場が和やかな雰囲気になります。
内装施工管理者は作業員だけでなく、施主や施設のスタッフ、近隣住民と関わる場合もあります。建設業界以外のさまざまな人ともコミュニケーションできると、工事が円滑に進みやすいでしょう。
内装施工管理者にはマネジメント力も必要です。マネジメント力とは管理能力のこと。複数の職人を指揮しながら、工程・安全・品質・原価の4つを管理するためにはマネジメント力が不可欠です。
マネジメント力には、先を予測して安全に配慮する危機管理能力や、現場を束ねるリーダーシップも含みます。複数の業務を同時に進められる、マルチタスク能力もあるとよいでしょう。
内装施工管理の魅力は、主に達成感があること・成長を実感できること・キャリアアップが実現できることなどです。それぞれの魅力を詳しく見ていきましょう。
内装施工管理者は建物の空間をつくる司令塔です。クライアントに満足してもらえる空間が完成すると感謝されるだけでなく、自身も大きな達成感を味わえます。
工程どおりに工事が進み、原価管理ができて利益を上げられると自信もつきます。トラブルがあっても乗り越えられると、達成感や充実感はより大きなものとなるでしょう。
内装施工管理の現場は一般住宅から店舗までさまざまで、内容も異なることがほとんどです。全く同じ現場はほとんどありません。
そのため現場で覚えたことが、そのまま経験値となります。経験値は座学で身につくものではありません。内装施工管理の仕事では、経験を重ねるほどに成長を実感できるはずです。成長を実感できるとモチベーションもアップするでしょう。
内装施工管理者として経験を積むと、経験値がキャリアにも反映され、昇給や昇格につながりやすくなります。
また建設施工管理技士や建築士などの資格を取得すると、キャリアアップができるだけでなく、転職にも有利です。より給与の高い企業への転職を考えているなら、経験を積みながら資格も取得するとよいでしょう。
ここで、内装施工管理士がキャリアアップするためには、どのような資格を取得するとよいのか、具体的に紹介します。
建築士は法律に定められた資格を持って、建物の設計や工事の監理を行う、建築のプロフェッショナルです。1級、2級、木造の3つの資格があり、建物の規模・用途・構造に応じて、取り扱える業務の範囲が定められています。(※)
内装施工管理者が建築士の資格を取得していると、クライアントから信頼されるだけでなく、設計に問題ないか気付きやすくなり、問題を未然に防止するのに役立ちます。
※出典:公益財団法人建築技術教育普及センター.「一級建築士試験」
内装仕上げ施工技能士は、各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定「内装仕上げ施工試験」の合格者に与えられる国家資格です。(※)床・壁・天井の仕上げ工事の他、カーテン・ブラインド工事も含む内装仕上げ工事を対象としています。3級・2級・1級に分かれており、3級は実務の経験がゼロでも受験可能です。
建築施工管理技士は建設業法で定められた施工管理技術検定の1級もしくは2級の合格者に与えられる国家資格です。(※)建築施工管理技士を取得すると、一般住宅やオフィスビルなどの建築工事の管理責任者になることも可能です。
建築施工管理技士には1級と2級があり、1級建築施工管理技士は監理技術者に、2級建築施工管理技士は主任技術者になれます。
※出典:一般財団法人建設業振興基金.「令和5年度1級建築施工管理技術検定のご案内」
インテリアプランナーとは、一般住宅やオフィス・店舗・公共施設など、さまざまな建築物の室内インテリア設計を行う仕事です(※)。インテリアに関する専門知識や、流行をつかむ感性などが必要とされます。
インテリアプランナーは公益財団法人建築技術教育普及センターによる民間資格です。インテリア関連の民間資格の中でも、内装施工管理の仕事により役立つ資格といえるでしょう。
※出典:公益財団法人建築技術教育普及センター.「インテリアプランナー」
内装施工管理の仕事に就いたら、どのような毎日が待っているでしょうか。次に内装施工管理者の一般的な1日のスケジュールを紹介します。
内装施工管理は現場や仕事の進行具合、昼間の作業か夜間の作業かによって1日のスケジュールが変わりますが、今回は昼作業の現場に赴くケースを紹介します。
■8~9時頃:現場確認または出社
内装施工管理者の一日の始まりは、直接現場に直行する場合と、一度会社に出社した後で現場に向かう場合があります。現場を確認しながら、または電話で現場の様子を聞きながら、さまざまな指示を出していきます。
■12時頃:昼休憩
昼休憩に入ります。約1時間の現場が多く、昼食の時間を兼ねています。
■13時頃:管理業務や打ち合わせなど
担当現場で工程・安全・品質・原価の4大管理や施工主・業者との打ち合わせを行います。
■17時頃:現場終了・確認作業
現場が終了した後に状況を確認し、作業員が全員退社したのを確認します。その後に資材の発注や工程確認などの書類整理をする場合もあります。
■19時頃:退社
最後に翌日の準備をして業務終了です。やり残したことがある場合は、残業する可能性もあります。
内装工事の施工管理は、建物の室内空間を形作るやりがいのある仕事です。内装施工管理の仕事に就きたい方や既に施工管理の経験があり転職を考えている方は「建築求人.jp」の活用がおすすめです。
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