設備施工管理は設備工事のスケジュールを把握し、必要に応じて調整を行う業務です。やりがいのある仕事のため、興味がある人も多いでしょう。本記事では設備施工管理の仕事内容を紹介するとともに必要なスキルや資格を解説します。就職や転職で、設備施工管理の仕事に就いてみたい方はぜひ参考にしてください。
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目次
設備施工管理とは、ビルや商業施設などの建物において必要な設備の工事を管理することです。設備といっても工事の種類はさまざまで、大別すると電気・配管・空調・通信・機械・消防の6種類に分けられます。
一般的に設備施工管理を含む施工管理の仕事は、工事が計画に沿って進むよう全体のスケジュールを把握し、調整を行う管理業務です。リーダーとして現場を動かすため、高いスキルが求められます。
設備施工管理の主な仕事は「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」の4つに分けられます。設備施工管理の現場における4つの仕事について、どのような特徴があるのか、詳細を見ていきましょう。
工程管理は工事が納期に間に合うように、作業のスケジュールを管理する仕事です。設備工事では電気・配管・空調・通信・機械・消防などの設備を工期内に完成させて引き渡す契約が交わされます。
設備工事のさまざまな工程を調整して、トータルで工期内に納めるのが工程管理の重要な仕事です。そのためには多くの技術者が関わる現場を取りまとめ、滞りなく工事を進める必要があります。調整力やスケジュール管理能力が問われる業務といえます。
安全管理は、設備工事現場の安全な作業環境を整える仕事です。事故を想定した安全対策など、リスクを徹底して抑えることが求められます。そのため使用する機材の安全点検や決められた工法を守っているかの確認、作業員の健康チェックなどが欠かせません。
建築や土木の工事現場同様、設備工事では転落事故や機械災害、倒壊・崩壊の危険がつきものです。設備施工管理では朝礼の指揮や安全パトロール、安全管理ミーティングなどを定期的に実施して安全管理に努めなければなりません。
品質管理は、対象の設備が定められた基準や品質に沿っているかを管理する仕事です。評価対象ごとに決められた点検方法や試験方法で、品質が確保できているかどうかをチェックします。
具体的には、寸法が設計図に記載されているサイズと相違ないか、仕様書に記載されている材質や強度が担保されているかなどを点検して確認を行い、データや写真を添えて施工記録も作成します。
原価管理は、施工計画で決められた予算内で工事が終わるよう、資材の発注や工程などのコストを管理する仕事です。
場合によっては、現場の工事に必要な資材費や人件費が、施工計画で決められた予算内に収まらないケースもあります。予算をオーバーするときは資材費や人件費などの原価を見直して、利益を計上できるよう調整することが大切です。
設備施工管理の仕事は、工事を行う設備によって業務内容も変わってきます。ここからは6つの設備工事ごとに、設備施工管理が行う具体的な作業内容を見ていきましょう。
電気設備工事における施工管理の仕事は、電気工事士の資格を持った技術者や作業員をマネジメントしながら、電気工事を納期まで進行させることです。
工事が遅れているようなら、スケジュールを調整しながら作業員を指揮します。技術者がスムーズに動けるような環境整備も必要です。また、ときには技術者や下請け業者の人数を変更するなどして人件費の原価調節も行います。
配管設備工事における設備施工管理の仕事は、水道管工事・排水管工事・ガス管工事などの管工事を納期までに終了させることです。配管工事では新規の設置工事以外に、補修工事やメンテナンスも行います。そのため水道管の新設工事では、後で補修工事しやすいよう設計・施工管理を行うことが大切です。
空調設備工事における設備施工管理の仕事は、換気設備工事・エアコン設置作業・排煙設備工事などのマネジメントです。空調技術者や管工事作業員などを指揮して、空調工事を予定に沿って進めます。空調設備の施工管理者には、熱源設備・熱搬送設備・空気調和設備などの基礎知識が必要です。
通信設備工事における設備施工管理の仕事は、電話線工事やインターネット回線工事を管理する仕事です。近年ではモバイル通信基地局の工事・大型サーバーの設置工事・LAN工事などが増えているため、工事の需要も多くなっています。
機械設備工事における施工管理の仕事は、プラント工事や施設内のエレベーター・エスカレーター設置工事で機械技術者を監督しながら、工事が期限内に終わるよう導くことです。
プラント工事は、危険物・毒物の取り扱いや火災・爆発の危険を伴う作業も多いため、作業員の安全管理が非常に重要です。またプラント保守では、機械・設備の点検、試運転なども行います。
消防設備工事における施工管理の仕事は、消防設備工事や消火栓工事、非常用エレベーター設置工事などで、消防設備技術者などの作業員をマネジメントしながら、消防設備工事をスケジュールどおり進めることです。
主な工事内容は、屋内外の消火栓工事・スプリンクラー設置工事・二酸化炭素やハロゲン化合物を使った消防設備の設置などです。
設備施工管理の業務に必要なスキルを紹介します。施工管理の仕事全般に必要なスキルもありますが、特に重要なスキルを中心にお伝えするので、設備工事の施工管理に興味のある方は参考にしてください。
施工管理を行うためには、現場を取り仕切らなければなりません。中でも設備施工管理はクライアントと打ち合わせしたり、現場の技術者に指示を出したりする機会が多いため、マネジャーとしてのコミュニケーション能力が求められます。
ときには年上の作業員に指示を出さなければならないこともありますが、臆せず積極的なコミュニケーションを心掛けましょう。
特に設備工事では、工事ごとに関わる技術者が変わる場合もあります。電気工事士・空調技術者など、専門分野の異なる技術者とも仕事するため、説明・交渉・理解の促進など細やかなコミュニケーションが必須です。
施工管理の仕事は多岐に渡るため、設備施工管理を行うには複数の課題に同時に向き合えるマルチタスク能力が求められます。
具体的には業務を進めている最中に予期せぬ事態が起きて、急な対応を迫られることもあるでしょう。また、繁忙期には複数の現場を同時に掛け持ちするケースもあります。そうした際も優先順位を決めて、複数のタスクを確実に進めていく能力が必要です。
設備施工管理で重要な業務の一つに、工期内に工事を終わらせるということがあります。そのためスケジュール管理能力があると有利です。作業員の欠員や機材・材料搬入の遅れ、天候の悪化などの予期せぬトラブルにも冷静に対処しながら、スケジュールを調整しましょう。
トラブルが起きるリスクも想定したスケジューリングができるようになると、設備施工管理として評価も高まります。
設備施工管理者が持っておきたい資格には、電気工事施工管理技士・電気通信工事施工管理技士・管工事施工管理技士・建築整備士・消防設備士などがあります。(※)
設備施工管理者は、必ずしも資格保有者である必要はありません。しかし上記に挙げたような資格を持っていると、主任技術者・専任技術者・監理技術者になりやすいなど、キャリアアップを図りやすくなります。また資格者のいる企業は建設業許可や公共工事の受注に有利になるため、企業としても資格者を重宝することが多く、昇進や年収アップにも有利になることが多いです。また転職をする際にも有利になるはずです。
ここからは、設備施工管理として働くメリットを解説します。主なメリットとしては「屋根がある現場で働ける」「スキル次第で年収アップが期待できる」「経験が転職に役立つ」ことなどが挙げられます。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
建設や土木、造園の施工管理と違って、設備施工管理の仕事は屋根のある屋内での作業が多いのが特徴です。風雨や炎天下での作業が少ないのは、設備施工管理のメリットの一つといえます。
屋内での作業は、暑さや寒さなどの影響を受けにくいだけではありません。工事の種類にもよりますが、設備工事は比較的高所での作業が少なく、建築・土木のように重い資材を運ぶ肉体的負担が少ないなどのメリットもあります。
技術職である設備施工管理の仕事では、スキルが向上すればその分年収も上がるケースがあります。当初は低い年収でも、施工管理の知識や経験を重ねながらスキルを身につけて、当初の倍以上の年収になる方もいます。
また、前述したような電気工事施工管理技士・電気通信工事施工管理技士・管工事施工管理技士などの「施工管理技士」の資格を取得すると、資格手当や昇進で給料が上がるケースも多いです。施工管理技士は国家資格であり、取得すればスキルの証明になるだけでなく年収アップにも役立ちます。
施工管理としてキャリアを積み重ねていくと、転職にも有利です。高齢化の進む建設業界では経験のある中堅が不足している傾向にあります。特に施工管理は高い需要があるにもかかわらず人手が足りていないため、即戦力となる経験者は、よりキャリアアップが可能な職場に転職しやすくなるでしょう。
建物の設備において、電気・配管・空調・通信・機械・消防などの工事を管理・マネジメントする設備施工管理は、需要の多い仕事でやりがいもあります。
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