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施工管理の重要な仕事「五大管理(QCDSE)」を解説! 優先順位、管理方法は?

施工管理の重要な仕事「五大管理(QCDSE)」を解説! 優先順位、管理方法は?

施工管理における五大管理(QCDSE)とは、Quality(品質)・Cost(原価)・Delivery(工程)・Safety(安全)・Environment(環境)の頭文字を取った概念です。本記事では、五大管理の意味や現場での実践ポイント、優先順位、四大管理・六大管理との違いを解説します。

建設現場で円滑かつ安全に工事を進めるためには、複数の要素を総合的に管理する必要があります。そこで重要となるのが「五大管理(QCDSE)」です。

これは、品質(Quality)・原価(Cost)・工程(Delivery)・安全(Safety)・環境(Environment)の5項目をバランス良く管理し、工事を計画通りに遂行するための基本的な考え方を指します。いずれも欠けてはならない重要な要素であり、品質やコストだけでなく、安全性や環境への配慮も含めた総合的なマネジメントが必要です。

本記事では、施工管理の重要な仕事である「五大管理(QCDSE)」について解説します。管理のポイントや、四大管理・六大管理との違いも解説するので、ぜひ最後まで参考にしてください。

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五大管理とは?(QCDSE)

五大管理とは?(QCDSE)
五大管理(QCDSE)とは、安全性と効率を両立しながら、建設工事を計画通りに完成へと導くための基本原則です。

Quality(品質)・Cost(原価)・Delivery(工程)・Safety(安全)・Environment(環境)の五要素について、部分的な管理にとどまらず全体のバランスを意識して運用し、各要素が互いに影響し合うことを踏まえて判断します。

例えば品質ばかりを高めようとすればコストや工期に影響が出やすく、安全や環境面の配慮を後回しにすると信頼や持続性を失うことにもつながります。従って施工管理者は、設計や契約、法令、地域への配慮などを踏まえながら、現場の実情に合わせて臨機応変な判断を下し、関係者と協力して工事を進めていくことが重要です。

さらに、各工程の区切りごとに振り返りを行い、計画の見直しや改善を重ねていくことが大切です。品質・コスト・工程・安全・環境の全てを、納期や進捗と照らし合わせながら調整し、施工完了まで現場全体のバランスを保ちます。

ここからは五大管理のそれぞれの項目について詳しく解説します。

Quality:品質

品質管理(Quality)とは、建設工事において設計図や仕様書に示された性能・寸法・安全基準を確実に満たすよう、施工の全過程を管理することです。

工事が完了してから不具合が発覚すると、手戻りや補修に多大なコストと時間がかかるため、事前の品質確保を行う必要があります。そのため、施工管理者は材料の受け入れ検査や作業の中間検査を行い、施工精度を常に確認します。

また施工手順書やチェックリストを活用し、各工程での品質を定量的に把握します。さらに埋設工事など目視確認が難しい部分では、写真記録を残して発注者や設計者に報告し、客観的な証拠として保存しておくことも仕事の一環です。

品質管理のポイント

製造業で品質を維持・向上させるには、現場での仕組みづくりと人の意識改革が求められます。

まず作業環境を整えるために整理整頓や清掃を徹底し、常に安全で清潔な状態を保つことが重要です。これにより作業効率が上がるだけでなく、ミスやトラブルの防止にもつながります。

また品質を左右する要因として、人・設備・材料・手順の4つがあり、これらを総合的に管理することが求められます。例えば、作業員の熟練度に応じた教育や、機械の点検・材料の検証を定期的に行うことが効果的です。

さらにデジタル技術の活用も進められており、AIによる検査システムやIoTによる稼働監視によって、人の目では気づかない不具合を早期に発見できます。標準化された作業手順を共有し、誰でも安定した品質を再現できる体制を構築できれば、企業の信頼を支える基盤となるでしょう。

Cost:コスト・原価

施工管理におけるCost(コスト)とは、限られた予算の中で最大の成果を出すために、資金の使い方を計画・管理することです。

原価を構成するのは、主に材料費・労務費・経費の3要素であり、これらを適切に配分して無駄を防ぎます。工事開始前には原価計画を立て、見積もり段階から利益を確保できるように調整します。

施工中は支出をリアルタイムで把握し、超過や不足が発生しないよう定期的に分析・修正を行います。

完工後には実績原価を集計し、計画との差異を分析して次の工事に生かせる記録を残していきましょう。

コスト管理のポイント

コスト管理を効果的に行うためには、計画・記録・分析の3段階を意識することが重要です。

まず詳細な原価計算を行い、材料費・労務費・経費などを明確に把握します。工事期間中の記録は、予算と比較しながら必要に応じて調整を行うためのものです。記録の精度が低いと、後の分析が正確に行えないため、丁寧に記録を積み重ねる必要があります。

予算と比較し、実際の支出が超過していれば早期に修正する体制を整えます。現場の作業員にもコストの仕組みを理解してもらうことで、無駄のない作業計画が立てやすくなるでしょう。

またこれまで他の現場で記録されてきた過去の工事データを分析して、見積もり精度の向上やリスク予測に生かすことも欠かせません。コスト削減を目的とする一方で、品質や安全への投資を怠ると、結果的に損失が拡大する恐れがあります。コスト管理は長期的な視点で行うことが求められます。

Delivery:工程・工期

施工管理におけるDelivery(工程・工期)とは、建設工事を定められた期間内で効率的かつ安全に完了させるための時間管理のことです。工程管理は、品質・コスト・安全面の全てを支える重要な業務です。

施工管理技士は全体の作業計画を立案し、職人や協力会社の人員配置、資材の搬入タイミング、重機の稼働スケジュールなどを総合的に調整します。進捗に遅れが出た場合はその原因を分析し、作業手順の見直しや人員の再配置によって早期にリカバリーを図ります。

工程管理のポイント

工程管理を適切に行うためには、単にスケジュール通りに進めることよりも、現場の状況に合わせた柔軟な計画運用が求められます。工期を短縮しすぎると安全面のリスクや人件費の増加を招くため、無理のないスケジュール設計が重要です。また、天候や資材供給の遅延など、予期せぬ要因に備えた柔軟な工程管理も求められます。

まず、作業員が無理なく進められる日程を組み、過密な工程を避けることが重要です。余裕のない計画は品質低下や安全リスクを招く原因となります。

現場では天候や資材の遅延、機械トラブルなど、あらゆる不測の事態が起こり得ます。1つの計画だけでなく、代替案をあらかじめ用意しておくことも大切です。進捗に遅れが生じた場合は、現場責任者が早期に情報を共有し、リアルタイムでスケジュールを修正することでいち早い対応が可能になるでしょう。

Safety:安全

施工管理におけるSafety(安全)とは、作業員が事故やけがを起こさず安心して作業できる環境を整えるための取り組みです。

建設現場は高所作業や重機の運転など常に危険と隣り合わせであり、わずかな油断が重大な事故につながる可能性があります。そのため、安全管理は全ての工程に優先される最重要項目です。

・施工管理技士は危険箇所の把握、作業環境の整備、リスクの周知を徹底し、事故を未然に防ぐ責任を担います。高所作業時の安全確認や、作業範囲への立ち入り規制、工具の点検や毎朝の危険予知など、細かな習慣化が必要になる仕事です。

安全管理のポイント

安全管理の基本は、常に「何が危険につながるか」を先読みすることです。

現場には高所作業、重機の稼働、電動工具の使用など、さまざまなリスクが潜んでおり、危険の兆候を早期に察知して対応することが事故防止につながります。そのため、日々の作業前に危険箇所を確認し、気づきを共有する習慣を作ることが大切です。

また多職種が関わる建設現場では、作業員一人ひとりの特性や体調に配慮し、声かけや安全確認を欠かさないことも効果的です。現場全体の危機意識を統率する立場として、安全に関わる全てのことに目を配る姿勢が重要です。

Environment:環境

施工管理におけるEnvironment(環境)とは、自然環境・周辺環境・職場環境の3つに配慮した管理を行うことです。建設工事は騒音や粉塵、排気ガスなどで地域に影響を与えやすいため、環境基準を守り、近隣住民への配慮を徹底することが求められます。また現場で働く人たちが働きやすいよう配慮することも環境管理の一環です。

それぞれの環境に配慮した施工方法は、以下のようなものが挙げられます。

・自然環境:土壌汚染や水質への影響を最小限に抑える
・周辺環境:作業時間の調整や防音・防塵対策を実施する
・職場環境:作業員が快適かつ安全に働けるよう、休憩スペースや衛生設備を整え、相談体制を整備する

これら3つの環境を守ることで、地域と共存する持続可能な工事が実現します。

環境管理のポイント

環境管理を行う際は、着工前に現場周辺の状況を確認し、騒音や振動などの影響を事前に把握しておくことが重要です。

騒音や振動、粉塵などがどの程度発生するかを予測し、それを最小限に抑える施工計画を立てる必要があります。また近隣住民への説明や協議を丁寧に行うことで、理解と協力を得やすくなり、トラブルの防止にもつながります。

さらに、職場環境の整備も忘れてはなりません。無理のない作業スケジュールや適切な休憩時間を確保し、作業員の健康状態やメンタル面にも気を配ることが求められます。コミュニケーションを通じて信頼関係を築くことも、作業員のメンタルケアにおいて重要です。

五大管理の優先順位

五大管理の優先順位
施工管理における五大管理(QCDSE)の優先順位は、一般的に以下の順で考えられます。

1. 安全
2. 品質
3. 工程
4. コスト
5. 環境

先述の通り最も重要とされるのはSafety(安全)であり、いかなる工事も人命の確保を最優先に進めなければなりません。事故が発生すれば、工期の遅延や品質の低下、さらには企業の信用失墜にもつながります。

次に重視されるのがQuality(品質)で、設計基準を満たした精度の高い施工を行うことが求められます。

続いて重要となるDelivery(工程)では、効率的なスケジュール運営が求められます。スケジュールの管理は、プロジェクト全体を円滑に進めていく上で欠かせません。

Cost(コスト)は、利益を確保しつつ品質と安全を両立させるためのバランスが重要です。

最後にEnvironment(環境)では、地域や自然への悪影響を最小限に抑える責任が求められます。ただし、現場の条件や工事の性質によっては、環境管理を上位に置く場合もあります。

五大管理はさまざまな管理方法のうちの一つ!

ここまでに紹介した五大管理は、さまざまある管理方法のうちの一つです。ここでは、基本となる四大管理、要素が一つ追加された六大管理との違いを見ていきましょう。

四大管理との違い

四大管理とは、品質(Quality)・原価(Cost)・工程(Delivery)・安全(Safety)の4つを指し、建設工事を円滑に進めるための基本的な管理項目です。これらは長年にわたり施工管理の中心的な考え方として定着してきました。

一方で環境問題や地域社会への配慮が求められるようになった現代では、これに「環境(Environment)」を加えた五大管理が主流となっています。

先述してきた通り、環境管理により自然環境や周辺住民への影響を最小限に抑え、持続可能な工事を実現することが可能になります。つまり、五大管理は社会的責任を含めたより包括的な施工管理の枠組みといえるでしょう。

六大管理との違い

五大管理は、品質(Quality)・原価(Cost)・工程(Delivery)・安全(Safety)・環境(Environment)の5つを軸に、工事の品質と効率を確保するための管理体系です。これに対して、六大管理は新たに労務管理(Labor Management)を加え、作業員の健康や労働環境の改善にも焦点を当てた仕組みです。

労務管理では、適正な人員配置、過重労働の防止、健康診断やメンタルケアの実施など、人に関わるマネジメントが重視されます。

つまり、五大管理が「工事そのものの管理」を目的としているのに対し、六大管理は「工事を支える人の管理」にまで領域を広げた考え方です。特に大規模工事や長期プロジェクトでは、労務管理の徹底が成果を左右する重要な要素となるでしょう。

まとめ

施工管理における五大管理は、現場を円滑に動かすための基本です。安全・品質・工程・コスト・環境の全てをバランス良く管理できる人材は、建設業界で常に求められています。

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