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電気通信施工管理技士とは? 仕事内容や試験概要を解説

電気通信施工管理技士とは? 仕事内容や試験概要を解説

電気通信施工管理技士は2019年に新設された新しい資格です。インターネットや携帯電話の普及によって増えた電気通信工事の責任者として、工事の進行や安全管理をするのが電気通信施行管理士の役割です。

本記事では電気通信施工管理技士の仕事内容や資格試験の概要・合格率などを解説します。これから電気通信施工管理技士を目指す方や電気通信工事の仕事に興味のある方は参考にしてみてください。

電気通信工事施工管理技士とは

電気通信工事施工管理技士とは
電気通信工事施工管理技士は国土交通大臣の指定機関が実施する国家試験の合格者に与えられる国家資格です。電気通信工事の増加に伴い、2019年に施工管理技士の7つ目の資格として新設されました。

電気通信施工管理技士は、電気通信工事の現場で施工計画・工程管理・安全管理・技術者の監督などに携わるスキルがあることを証明する資格です。施工管理は工事の施工スケジュールや予算の管理、安全面の配慮に加え、書類を作成して役所への手続きを行うなど、工事に関わる全てのことを管理します。

施工管理は資格がなくてもできる仕事です。ただし、将来的に電気通信工事の現場で施工管理職として働くなら、さまざまな管理の技術があると証明できる「電気通信施工管理技士」の国家資格を取得しておくのがおすすめです。資格があるとキャリアアップや転職にも役立つでしょう。

電気通信施工管理技士は「電気工事施工管理技士」と似ているため混同されることもあります。電気工事施工管理技士は、信号設備工事や非常用電源設備工事、電車線工事などの施工管理です。一方、電気通信工事施工管理技士は、電話や携帯電話、インターネットやWi-Fiなどの通信機器を使用するための工事の管理をします。

電気通信工事は高い技術力や最新の技術に対する知識を求められる仕事です。電気通信施工管理技士は常に最新の通信技術に興味を持ちながら学び続け、知識を吸収できる向上心のある方に向いています。

1級と2級の違い

1級と2級の違い
電気通信工事施工管理技士には、1級と2級の2種類があります。1級と2級の違いは、電気通信工事現場の規模です。2級電気通信工事施工管理技士が管理できる現場は、中小規模の電気通信工事を請け負う「一般建設業」だけですが、1級の資格保有者では総額4,000万円以上の電気工事を請け負う「特定建設業」でも責任者として働けます。

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得すると、大規模工事をする特定建設業の「営業所ごとに置く専任の技術者」および「監理技術者」として認められます。

一方、2級電気通信工事施工管理技士は「監理技術者」にはなれません。ただし2級の資格保有者は、一般建設業の「営業所ごとに配置する専任の技術者」および「建設工事における主任技術者」になれます。

電気通信工事施工管理技士の仕事内容

電気通信工事施工管理技士は、以下のような工事現場の進行管理をします。以下の仕事に携わると、電気通信施工管理技士の受験資格に必要な「実務経験」としても認められます。

工事種別 工事内容
有線電気通信設備工事 通信ケーブル工事/CATV ケーブル工事/伝送設備工事/電話交換設備工事など
無線電気通信設備工事 携帯電話設備工事(携帯局を除く)/衛星通信設備工事/移動無線設備工事(移動局を除く)/固定系無線設備工事/航空保安無線設備工事/対空通信設備工事/海岸局無線設備工事/ラジオ再放送設備工事/空中線設備工事など
ネットワーク設備工事 LAN設備工事/無線LAN 設備工事など
情報設備工事 監視カメラ設備工事/コンピュータ設備工事/ AI(人工知能)処理設備工事/映像・情報表示システム工事/案内表示システム工事/監視制御システム工事/ 河川情報システム工事/道路交通情報システム工事/ETC設備工事(車両取付を除く)/指令システム工事/センサー情報収集システム工事/テレメータ設備工事/水文・気象等観測設備工事/レーダ雨量計設備工事/監視レーダ設備工事/ヘリコプター映像受信基地局設備工事/道路情報表示設備工事/放流警報設備工事/非常警報設備工事/信号システム工事/計装システム工事/入退室管理システム工事/デジタルサイネージ設備工事など
放送機械設備工事 放送用送信設備工事/放送用中継設備工事/FPU 受信基地局設備工事/放送用製作・編集・送出システム工事/CATV 放送設備工事/テレビ共同受信設備工事/構内放送設備工事/テレビ電波障害防除設備工事など

 
上記からも分かるように電気通信施工管理技士は、光回線やスマートフォン回線、5G回線などの成長分野の工事にも関わる仕事です。IoTや自動運転、AIロボットなど、今後伸びていくとされる分野の工事に関わるため、将来性がある分野といえるでしょう。

※出典:CIC日本建設情報センター. 「電気通信工事施工管理技士 資格試験ガイド」.

電気通信工事施工管理技術検定を取得するメリット

電気通信施工管理技士になるには、国土交通大臣指定機関が実施する国家試験「施工管理技術検定」に合格しなければなりません。施工管理技術検定に合格して電気通信施工管理技士の資格を取得すると次のようなメリットがあります。

技術者としての信頼度が上がる

電気通信工事を施行する業者は、小規模な工事を除いて国土交通省大臣または都道府県知事から建設業許可を受ける必要があります。建設業許可を受けた事業所は営業所ごとに「専任の技術者」の配置が義務付けられます。ここでいう「専任の技術者」に含まれるのが電気通信工事施工管理技士です。

「専任の技術者」は国家資格の保有者、もしくは一定期間の実務経験を積んだ技術者に限られるため、誰にでも務められるものではありません。そのため資格があると貴重な人材として重宝されるのが大きなメリットです。

監理技術者・主任技術者になることが可能になる

電気通信工事施工管理技士を取得すると、工事の「監理技術者」または「主任技術者」として従事できることもメリットです。

4,000万円を超える下請契約をした場合、現場には必ず「監理技術者」を配置しなければなりません。また元請けや下請を問わず、監理技術者が必要な工事以外の全ての工事に「主任技術者」を配置する必要があります。(※)

電気通信工事の現場に欠かせない「監理技術者」や「主任技術者」として責任ある立場で仕事ができることも、電気通信工事施工管理技士の資格を取得するメリットといえるでしょう。

※出典:国土交通省. 「工事現場に配置すべき技術者」.

技術力評価で加点される

公共工事を請け負う場合、「経営事前審査」を受ける必要があります。経営事前審査は建設業者の経営規模や経営状況、技術力などを審査するものです。審査の点数は公共工事の競争入札で、それぞれの建設業者の資格審査をする場合に用いられます。(※)

経営事項審査の技術力評価では、施工管理技士などの有資格者1人当たり5点が加算されます。加算された得点が公共工事の受注の際、企業の技術力として評価されるため、資格を取得すると企業にも貢献できます。

※出典:国土交通省関東地方整備局. 「経営事項審査について」.

電気通信工事施工管理技術検定の試験概要

電気通信工事施工管理技術検定の試験には、1級2級ともに「第一次検定」と「第二次検定」があります。第一次検定の合格者が第二次検定に進むことができ、第二次検定に合格したら資格取得です。ここでは電気通信施工管理技術検定の受験資格・受験日・試験会場・受験料などの概要を紹介します。

受験資格

受験資格は1級と2級で異なります。また1級2級ともに第一次検定と第二次検定で受験資格が異なります。国土交通省は2023年1月に、施工管理技術検定の受検資格を見直す方針を発表しました。見直しによって2024年4月1日からは、以下のように受験資格が変更される予定です。(2023年6月29日現在)

※引用:国土交通省. 「技術者制度の見直し方針」P19.

1級の第一次検定は、学歴ごとに実務経験年数にさまざまな条件がありました。しかし改正によって、当該年度の年度末時点で19歳以上であれば、学歴不問で受験が可能になります。第二次検定では第一次検定合格後、「一定規模以上の実務経験3年以上」での受験が可能です。

2級は第一次検定が17歳以上なら誰でもできるのは改定前と同じですが、第二次検定は2級第一次検定合格後、実務経験3年以上で受験できるようになります。

試験日

2023年度の電気通信施工管理技士(1級・2級)検定の試験日・合格発表は以下のとおりです。

試験日 合格発表
1級(一次) 2023年9月3日(日) 2023年10月5日(木)
1級(二次) 2023年12月3日(日) 2024年3月6日(水)
2級前期(一次のみ) 2023年6月4日(日) 2023年7月4日(火)
2級後期(一次・二次/ 一次のみ/ 二次のみ) 令和5年11月19日(日) 一次:2024年1月5日(金)
二次:2024年3月6日(水)

 

申込期間

2023年度の電気通信施工管理技士(1級・2級)検定の申し込み期間は以下のとおりです。

1級(一次・二次) 2023年5月8日(月)~5月22日(月)
2級(前期) 2023年3月1日(水)~3月15日(水)
2級(後期) 2023年7月11日(火)~7月25日(火)

試験地

2023年度の電気通信施工管理技士(1級・2級)検定の試験地は以下のとおりです。

1級・第一次検定 札幌、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇の12地区
1級第二次検定 札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の10地区
2級前期(一次のみ) 札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の10地区
2級後期(一次・二次/ 一次のみ/ 二次のみ) 札幌、青森、仙台、東京、新潟、金沢、静岡、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇の14地区

 

受験料

2023年度の電気通信施工管理技士(1級・2級)検定の受験料は以下のとおりです。

1級 第一次検定 13,000円 第二次検定 13,000円
2級 第一次検定 6,500円 第二次検定 6,500円

 
※出典:一般社団法人全国建設研修センター. 「1級電気通信工事施工管理技術検定」.

※出典:一般社団法人全国建設研修センター. 「2級電気通信工事施工管理技術検定」.

電気通信工事施工管理技術検定の受験者数・合格率

電気通信施工管理技士の難易度はどれくらいなのでしょうか。元号が令和に変わった2019年から2022年の受験者数と合格率を紹介します。

1級の受検者数・合格率

第一次検定(合格者数/受験者数) 第二次検定(合格者数/受験者数)
2019年 43.1%(5,838人/13,538人) 49.5%(2,860人/5,781人)
2020年 49.1%(4,190人/8,532人) 49.3%(3,307人/6,707人)
2021年 58.6%(4,730人/8,076人) 30.1%(1,852人/6,147人)
2022年 54.5%(3,982人/7,300人) 37.4%(2,108人/5,630人)

 
1級の第一次検定の合格率は40%前半〜50%後半、第二次検定の合格率は30%前半〜約50%でした。数字だけ見ると合格率は高めに感じます。しかし、1級は電気通信施工管理のプロが受験しているため、難易度は低くありません。合格したいなら第一次検定・第二次検定ともに6割以上の正解を目指しましょう。

※出典:建設技術教育センター. 「1級電気通信工事施工管理技士受験者数・合格率動向」.

2級の受検者数・合格率

第一次検定(合格者数/受験者数) 第二次検定(合格者数/受験者数)
2019年 63.9%(3,793人/2,425人) 41.9%(2,007人/4,790人)
2020年 66.4%(1,835人/2,764人) 33.9%(1,391人/4,101人)
2021年 70.4%(1,807人/2,568人) 30.1%(1,420人/4,725人)
2022年 59.1%(1,818人/3,074人) 35.6%(1,265人/3,557人)

 
2級の第一次検定は17歳以上なら誰でも受験可能ですが、60%〜70%が合格しています。第一次検定は比較的難易度が低いといえるでしょう。一方で第二次検定は実務経験のある方しか受験できませんが、合格率は30%〜40%にとどまっています。

第一次検定に比べると第二次検定の難易度がかなり高くなります。第一次検定は「マークシート方式」ですが、第一次検定が「記述式」であることも難易度を高くしている要因です。合格のためには第一次検定・第一次検定ともに100点満点で60点以上の得点を目指しましょう。

※出典:建設技術教育センター. 「2級電気通信工事施工管理技士受験者数・合格率動向」.

資格を持っている場合、他にどんな仕事に就ける?

電気通信工事施工管理技士は、近年ますます進むIT化によって需要が高まっています。資格があると、通信設備の施工や施設内の放送設備、情報通信全般に関わる工事を請け負っている会社はもちろん、他にも幅広く就職先・転職先を選べるでしょう。

例えば、NTTなどの電気通信会社や設計事務所、火災報知器や防犯カメラを扱っている会社、ビルメンテナンスの会社や電気系の営業職も選択肢です。インターネット環境は今後もますます生活に必要不可欠なものとなるため、電気通信施工管理技士は、今後も需要の高い職種といえます。

まとめ

電気通信施工管理技士は、光回線・スマートフォン回線、5G回線などの成長分野の工事を管理する仕事です。今後も需要が伸びていくことが予想されるため、将来性のある分野といえるでしょう。施工管理職は全体的に人手不足の傾向ですが、新しい資格である電気通信工事施工管理技士はより不足感があるため取得すると重宝される資格です。

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